2004 年 30 巻 4 号 p. 563-569
1976~2003年に九州大学病院で放射線治療を行ったT1-4N0M0下咽頭癌75症例の治療成績を検討した。T因子はT1 : 10例, T2 : 41例, T3 : 13例, T4 : 11例であった。放射線治療は1回1.5-2.0Gy, 30-40Gy時の評価で根治照射群, 手術群に振り分けた。根治照射群の総線量は60-74Gy (中央値62.5Gy) であった。同時併用化学療法は67例 (89%) に行われた。根治照射群48 (T1 : 9, T2 : 30, T3 : 4, T4 : 5) 例, 術前照射+手術群27 (T1 : 1, T2 : 11, T3 : 9, T4 : 6) 例となり, 全体の5年原病生存および喉頭温存局所無再発生存率は75%, 65%であった。治療法別の5年原病生存率は根治照射群71% (T1-2 : 85%, T3-4 : 29%), 術前照射+手術群79% (T1-2 : 92%, T3-4 : 67%) とT1-2では, 両者に有意差はないが, T3-4では根治照射群で予後不良であった。T1-2には術前照射を含め積極的に喉頭温存を目的とした放射線治療を試みて良いと考えられた。