2005 年 31 巻 4 号 p. 517-522
今回われわれは,口腔癌N0症例 24例において99mTcフチン酸を用いたRI法によるセンチネルリンパ節(SN)の同定と,それら同定したリンパ節および頸部郭清リンパ節標本での転移検索により,SNの概念が成立するか否かを明らかにすべく臨床的検討を行った。SNへの転移の有無,および郭清標本中のnon-SNへの転移の有無はHE染色,サイトケラチン免疫染色ならびにCK17 RT-PCRを用いて検索した。24症例すべてにおいてSNの同定が可能(同定率100%)であった。リンパ節転移はHE,免疫染色では7例で認め,RT-PCRでは8例が陽性であった。転移リンパ節はいずれもSNであり,non-SNには転移は認めず,また現在まで1例を除き頸部再発は認められていないことより,口腔癌においてもSNの概念が成立することが強く示唆された。