頭頸部癌
Online ISSN : 1881-8382
Print ISSN : 1349-5747
ISSN-L : 1349-5747
唾液腺
大唾液腺悪性腫瘍123例の検討
坂本 菊男津田 祥夫高根 陽子千々和 秀記梅野 博仁中島 格
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 32 巻 4 号 p. 499-505

詳細
抄録

1986年から2004年までの19年間に当科で治療を行った唾液腺悪性腫瘍123例(耳下腺癌80例,顎下腺癌39例,舌下腺癌4例)を臨床的に検討した。病理組織型は16種類と多彩であり,粘表皮癌が26例(21%)と最も多かった。病期別ではStage IVが83例(67%)と大部分を占めた。治療は全例,手術を行った。局所再発を32例(26%)に認めた。頸部郭清後の頸部再発を12例(13%)に認め,頸部郭清を施行しなかった33例のうち頸部転移を2例(6%)に認めた。遠隔転移は25例(20%)に認めた。頸部転移リンパ節の被膜外浸潤の有無と遠隔転移に有意差を認めた(p<0.05)。予後は死因特異的累積5年生存率61%,10年生存率50%であった。5年,10年生存率は部位別で耳下腺65%,62%,顎下腺53%,36%,舌下腺67%,0%であった。病期別ではStage I:90%,68%,Stage II:69%,52%,Stage III:100%,Stage IV:50%,45%であった。主な病理組織型別の5年,10年生存率は粘表皮癌:61%,61%,腺様嚢胞癌:62%,34%,腺癌:52%,44%,多形腺腫内癌:83%,83%,腺房細胞癌:100%であった。死因は原発巣死18例,リンパ節死6例,遠隔転移死22例,手術死1例,合併症死1例,他因死6例であった。

著者関連情報
© 2006 日本頭頸部癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top