超音波医学
Online ISSN : 1881-9311
Print ISSN : 1346-1176
ISSN-L : 1346-1176
原著
甲状腺髄様癌の超音波像と組織像との比較
高見 諭加子谷 好子衞藤 美佐子栗本 美幸丸田 淳子橋本 裕信山下 裕人村上 司野口 志郎
著者情報
ジャーナル 認証あり

2009 年 36 巻 5 号 p. 571-577

詳細
抄録

目的:甲状腺髄様癌には超音波Bモード断層像上,乳頭癌を疑わせる不整形の結節として描出される例と濾胞腺腫を疑わせる卵円形の結節として描出される例があることが知られている.組織像との比較を行うことにより甲状腺髄様癌の超音波像の特徴とその成り立ちについて検討した.対象と方法:甲状腺髄様癌22例を超音波像の形状をもとに卵円形群と不整形群の2群に分け,切除標本のCongo-red染色,Elastica van Gieson染色を行い,腫瘍内のアミロイドおよび膠原線維の占める割合を比較検討した.また,超音波像で腫瘍内に高エコー部を認めた症例についてアミロイドとの関連を比較検討した.結果と考察:超音波像での形状の内訳は22症例中,卵円形群8(36.4%),不整形群14例(63.6%)であった.アミロイドと膠原線維の占める割合は卵円形群に比べ不整形群に有意(p=0.0195,p=0.0014)に高かった.超音波像で高エコー部が認められた症例は22例中15症例あり,そのうち13例が不整形であった.高エコー部を呈していた症例は切除標本にて全例石灰化を確認した.石灰化はアミロイド内や膠原線維内に存在しており,アミロイドの多い症例ほど高エコー部が多発していた.結論:アミロイド,膠原線維を含む間質の量が多い甲状腺髄様癌は不整形を示すことが多い.アミロイド沈着が高度な例に高エコー部が多い.

著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本超音波医学会
次の記事
feedback
Top