超音波医学
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原著
超音波造影剤ペルフルブタンの臨床上の安全性ならびに有用性の検討
森 義弘早川 晶子阿部 研自谷川 雅俊高橋 周美成瀬 英典山口 文恵
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2011 年 38 巻 5 号 p. 541-548

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抄録

目的:Sonazoid®注射用16μL(一般名ペルフルブタン)発売後,使用患者数が年々増えているが,様々な基礎疾患や合併症を持つ患者における多施設,多数例での安全性,有効性に関するデータは現在のところ報告されていない.そこで本剤の日常診療における安全性,有効性の新たな問題点の把握を目的として使用成績調査を実施した.対象と方法:本剤の効能・効果である「超音波検査における肝腫瘤性病変の造影」の目的でペルフルブタンを投与した患者を対象とし,3,000例を収集目標として全国の医療機関で調査を実施した.結果と考察:全国の257施設より3,655例の調査票を収集した.安全性評価対象3,418例のうち副作用は16例(21件)発現し,発現率は0.5%であった.重篤な副作用は無かった.また,本剤の使用にあたり新たな注意喚起を必要とする問題点は認められなかった.有効性評価対象3,283例における全目的の有効率は,血管相動脈優位相における血管描出能92.5%,後血管相における実質描出能93.2%,総合評価94.1%であった.検査目的別,撮像時相別の有効率は83.0‐97.5%の範囲であり,日常診療において一定の評価が確立されたと考えられた.結論:ペルフルブタンを用いた造影超音波検査法は肝腫瘤性病変の精査・確定診断,局所治療への応用,治療効果判定などの様々な目的で安全に使用可能なモダリティの一つとして位置付けられた.

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© 2011 一般社団法人 日本超音波医学会
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