日本鳥学会誌
Online ISSN : 1881-9710
Print ISSN : 0913-400X
ISSN-L : 0913-400X
原著論文
栃木県と長野県の低山帯におけるオオタカ・サシバ・ハチクマ・ノスリの営巣環境の比較
植田 睦之百瀬 浩中村 浩志松江 正彦
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 55 巻 2 号 p. 48-55

詳細
抄録

平地から低山にかけて生息する猛禽類の代表的な種であるオオタカ, サシバ, ハチクマ, ノスリの営巣環境について栃木県宇都宮近郊と長野県安曇野周辺で調査を行なった. オオタカの営巣木は栃木ではスギが多かったが, 長野ではアカマツが多く, 地域による差が認められた. また, 栃木のサシバ, 長野のノスリとハチクマは, いずれもアカマツへの営巣が多かった. 栃木県のオオタカとサシバの営巣木と周囲にある針葉樹の樹高と胸高直径について比較した結果, オオタカの多くは周囲の樹木の中でも最大級の木に営巣したが, サシバはそうではなかった. 各種猛禽類の営巣林の地上高別の被度と巣の位置をみると, オオタカの営巣林は栃木, 長野ともに巣のある樹冠部の被度は高いが, それより低い位置では被度が低くなり, 地上付近に近づくと再び被度が高くなっていた. それに対してサシバ, ノスリ, ハチクマは, 巣のある位置もそれより低い位置もあまり被度がかわらない林だった. これらの結果に基づいて, オオタカとサシバの保全対策について言及した.

著者関連情報
© 2006 日本鳥学会
前の記事 次の記事
feedback
Top