2003年10月から2004年9月の期間,関東地方におけるハシブトガラスC. macrorhynchosの生殖腺(精巣と卵巣)の形態の季節変動を検討した.ワナで捕獲したハシブトガラスについて,成鳥(雄50羽,雌32羽)と幼鳥(雄66羽,雌34羽)に分けて解析を行った.成鳥では,4~5月には精巣重量,卵巣重量,最大卵胞直径ともに他の時期に比較して増加しており,時期により有意に異なっていた.一方,幼鳥は,成鳥のように発達した卵胞を持つ個体はみられなかったので,繁殖を行うには至っていないと考えられた.しかし,幼鳥においても4~5月には精巣重量,卵巣重量,最大卵胞直径ともに増加しており,例えば日長変化などの,繁殖期の到来を伝える外部刺激に反応はしているものと考えられた.