高密度のソウシチョウの巣の存在にともなうウグイスの巣への捕食の増大という間接効果を検証するために,えびの高原(鹿児島県,宮崎県)において,ソウシチョウの巣の除去実験を行った.調査は2002年と2003年の繁殖期に,ソウシチョウの巣を繰り返し除去し,除去を行わない対照区との間で,ウグイスの巣に依存する期間の生存確率を比較した.除去の結果,2002年は巣密度の低くなった除去区では対照区より全期間生存確率は有意に高かった.2003年はウグイスの営巣数が大きく減少したため,ソウシチョウの巣を除去したにもかかわらず両地区の巣密度差が小さく,生存確率に有意差が生じなかった.本研究の結果はソウシチョウの高密度な巣の存在がウグイスの偶発的な捕食の増加を引き起こし,ウグイスの低い繁殖成功をもたらしたことを示唆している.