日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
免疫療法施行下の各種腎疾患患児に対するインフルエンザワクチンの有効性について
工藤 雅庸小沼 俊一神尾 卓哉遠藤 泰史田中 完高橋 義博
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2005 年 18 巻 1 号 p. 21-25

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抄録

ステロイド・免疫抑制薬内服中の各種小児腎疾患患児に対し,平成13年から平成15年にかけてインフルエンザワクチンの接種を試み,接種前後の抗体価の推移を測定することでワクチンの有効性を検討した。平成13・14年度は免疫抑制薬併用例(4例)を含めた少量ステロイド薬(0.2~0.3mg/kg/d)内服中の腎疾患例10例(6~15歳)について,気管支喘息など腎疾患以外で通院中の11例(2~16歳)を対照として接種前後の抗体価の推移を比較した。平成15年度は中等量ステロイド薬(0.6~1.0mg/kg/隔日)内服中の腎疾患例4例(8~14歳)で接種前後の抗体価の推移を測定した。これらの検討の結果,免疫抑制療法下の腎疾患例においても,対照群と同等のA型インフルエンザに対する有意な抗体価上昇が確認された。B型に関してはワクチン接種後の抗体価上昇はA型に較べて低い傾向が認められた。以上から,免疫抑制薬併用例や中等量のステロイド薬内服例においても,A型インフルエンザに対してのワクチン接種効果が期待できることが示唆された。今後,ステロイド薬・免疫抑制薬で治療中の腎疾患患児に対しても,必要とされる症例では積極的なインフルエンザ不活化ワクチン接種が望ましいと考えられた。

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© 2005 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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