日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
脳梗塞を発症し左片麻痺をきたした溶血性尿毒症症候群の1例
岡田 晋一花田 卓也林   篤神田 貴行杉浦 千登勢前垣 義弘坂本   誠林原 博神崎 晋
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2006 年 19 巻 1 号 p. 31-36

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抄録

ベロ毒素産生腸管出血性大腸菌O157感染により溶血性尿毒症症候群(Hemolytic uremic syndrome:HUS)を発症し,脳梗塞により左片麻痺をきたした1歳女児例を報告する。下痢出現後,溶血性貧血,血小板減少,腎機能障害をきたし,意識障害,乏尿が進行したため第10病日に腹膜透析を導入した。腹膜透析導入時に右半身痙攣発作が出現,第12病日より左片麻痺が明らかとなった。頭部MRにより右ラクナ脳梗塞と診断した。その後,痙攣発作はなく意識障害および左片麻痺も改善した。第32病日に腹膜透析から離脱した。第59病日の脳血管造影により右内頚動脈閉塞が明らかとなり,HUSに伴う脳梗塞の原因と考えられた。HUSでは溢水にならない管理が求められるが,一方で脳梗塞発症の危険性もあり,より慎重な水分管理が必要と考えられた。

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© 2006 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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