1996 年 9 巻 2 号 p. 189-195
臨床的,病理組織的に活動性の高い小児期重症型ループス腎炎11例に,the National Institute of Health (NIH) プロトコールによるシクロフォスファミド静注パルス療法 (以下CY-P) を施行し,病勢をコントロールし得なかった4例に,1カ月毎のCY-Pを再導入し3カ月毎の維持療法への移行を試みた。そのうち3例は1年5カ月から2年3カ月,1例は1年の再導入後の観察で病勢寛解を維持し,3カ月毎の投与を施行中である。
これらの再導入例は,通常のNIHプロトコールどおり行って経過良好な例に比べ,腎炎の臨床像,腎外病変の程度,病理組織像の活動性,急性期治療としての血液浄化の必要性,ステロイド投与量のいずれもがより強く高い傾向にあった。
このことから,より重症の急性劇症型小児期ループス腎炎に対しては,NIHプロトコールの見直しの必要性が示唆された。