日本補綴歯科学会雑誌
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原著論文
はたして歯周病患者にはどのような補綴方法が有効か?
―Part 2 : 歯周病患者に対するRPD・FPD治療の文献Reviewと臨床的示唆 (RPD vs. FPD vs. Implant)―
菅野 太郎中村 圭祐林 栄成猪飼 紘代弘岡 秀明木村 幸平
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2008 年 52 巻 2 号 p. 143-149

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抄録

目的 : 歯周病患者に対するRPD (removable partial denture) とFPD (fixed partial denture) の臨床研究のReviewを行い, 科学的根拠を踏まえたRPD・FPD治療を考察した. さらに, Part 1における歯周病患者に対するインプラント治療の考察結果も加味し, 歯周病患者への補綴治療 (RPD・FPD・インプラント) に関する臨床的示唆を提案した.
研究の選択 : 部分的欠損歯列となった歯周病患者に対してRPDもしくはFPDによる補綴治療を行い, その成功率あるいは生存率を報告している臨床研究を選択し, レビューを行った.
結果 : RPDに関しては今回のレビューの目的に該当する論文は認められなかった. 一方, FPDに関しては, 文献選択の基準を満たした論文は8本あり, 長期的予後において, 良好なFPDの生存率が示されていた.
結論 : 歯周病患者に対するRPD治療には, 臨床的な示唆を考察する判断材料が非常に少ないが, FPD治療には, 長期の臨床研究が存在し, ハイリスクな補綴設計のFPDに関しても臨床的に良好な結果を示している. しかしながら, 歯周病患者の補綴治療は, 補綴治療の方法を考察する前に, 積極的な補綴治療の必要性そのものを検討するべきである. どのような補綴治療であろうとも, 術前・中・後における術者・患者の両者による厳格な歯周治療とプラークコントロールは必須である.

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© 2008 社団法人日本補綴歯科学会
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