日本農村医学会雑誌
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症例報告
原発性肝細胞癌患者にみられた嘔気に対し, 低用量ミルタザピンが著効した1例
柴原 弘明村瀬 陽介植松 夏子山本 絢子西村 大作
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キーワード: ミルタザピン, 低用量, 嘔気
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2011 年 60 巻 2 号 p. 109-113

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抄録

 症例は80歳台男性。原発性肝細胞癌で在宅療養中であった。嘔気と食思不振がみられたが,血液検査では高カルシウム血症はなく,頭部CT・MRIでは明らかな脳転移は認めず,腹部CTではがん性腹膜炎による消化管閉塞や腸管拡張像はみられなかった。入院後に行なった上部消化管内視鏡検査でも器質的異常はみられなかったため,薬物療法としてミルタザピンを3.75mg/日の低用量で開始した。投与開始翌日より食事摂取量は増加し,嘔気や食思不振は全くみられなくなり退院となった。原因が同定されないがん患者の嘔気に対して,低用量ミルタザピンは有効な治療薬の選択肢のひとつであると考えられる。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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