The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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原著
A型ボツリヌス毒素製剤(Botulinum Toxin Type A)の脳卒中後の下肢痙縮に対する臨床評価
—プラセボ対照二重盲検群間比較試験ならびにオープンラベル反復投与試験—
木村 彰男安保 雅博川手 信行大迫 由佳陶山 和明前田 俊夫植地 泰之岩崎 甫BTXA痙縮治験グループ
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2010 年 47 巻 9 号 p. 626-636

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抄録

【目的】脳卒中後の下肢痙縮患者を対象にA 型ボツリヌス毒素製剤(botulinum toxin type A:BTXA)単回投与時の有効性をプラセボを対照として検証し,反復投与した際の有効性および安全性を評価した.【方法】下肢痙縮患者120 例にBTXA300 単位またはプラセボを対象筋に1 回筋注し,投与12 週以降は再投与基準を満たした被験者にBTXA300 単位を最大3 回反復投与し,48 週まで観察を行った.【結果】足関節のModified Ashworth Scale(MAS)の投与前からの変化量に基づく曲線下面積の平均値の差は,BTXA群とプラセボ群間で-3.428であり,BTXA群で有意な減少が認められた(p=0.006,t検定).反復投与によりMASは更なる改善を示した.副作用発現頻度はBTXA群,プラセボ群間で著明な差は認められず,反復投与において副作用発現率の増加は認められなかった.【結論】BTXAは初回投与から下肢痙縮を改善し,長期的に有効で安全な治療法に成り得ると考えられた.

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© 2010 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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