日本臨床外科学会雑誌
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症例
腸間膜Castleman病の1例
宇野 彰晋宗本 義則三井 毅浅田 康行飯田 善郎三浦 将司
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キーワード: 腸間膜
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2007 年 68 巻 5 号 p. 1312-1316

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抄録

症例は82歳, 女性. 高血圧, 高尿酸血症にて, 近医通院中であった. 平成17年6月頃から, 右手のしびれ, 両前腕の皮下出血出現し, 採血で血沈亢進, 貧血, 高蛋白血症を近医で指摘され, 精査目的で当院内科紹介受診. 腹部CTで径35mmの腸間膜腫瘍を認め, 腸間膜および大動脈周囲にリンパ節腫大が散見された. FDG-PETで同部位に異常集積を認めた. 腸間膜腫瘍は悪性の可能性を否定できず, 平成17年9月に腸間膜腫瘍に対し, 摘出術を施行. 上部小腸の腸間膜に腫瘍を認め, 腸管切除せずに腫瘍のみ摘出した. 腫瘍は大きさ3.6×3.0×2.5cmで平滑で軟. 内部は均一で壊死所見は認めなかった. 病理所見で腸間膜Castleman病と診断された. 本例はhyaline vascular typeとplsma cell typeの混在型であった. 術後経過は良好で術後6カ月現在再発の徴候は認めていない.
Castleman病は, リンパ増殖性の疾患であり, 縦隔や頸部に多く発生するが, 腹部に発生する頻度は低く, 腸間膜発生例は稀であり, 若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2007 日本臨床外科学会
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