2007 年 68 巻 10 号 p. 2442-2448
左側大腸穿孔による腹膜炎に対して手術を施行した27症例について, 選択術式別の短期および長期治療成績を検討した. 対象症例を一期的切除・再建を施行した9例 (A群) と人工肛門造設を施行した18例 (B群) とに分け比較検討した. 臨床病理学的因子の比較では手術までの経過時間がA群で長かった (P=0.049) が, それ以外は有意差を認めなかった. 術後早期の合併症率はA群 : B群=66.7% : 83.3%, 死亡率はA群 : B群=11.1% : 22.2%で有意差は認めないものの, B群の短期成績は不良であった. 一方で累積3年生存率はA群 : B群=53.3% : 41.9%であった. 多変量解析では, 原疾患 (P=0.049), SIRSの有無 (P=0.021), 術後臓器不全の数 (P=0.007) が独立した予後因子であった. 左側大腸の穿孔性腹膜炎症例では, 的確な術式選択と術後の集中治療により比較的良好な長期成績が得られているものと思われた.