日本臨床外科学会雑誌
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症例
アニサキス症により小腸イレウスをきたした1切除例
吉田 雅今 裕史柴崎 晋米山 重人伊藤 美夫宇根 良衛
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2007 年 68 巻 4 号 p. 860-864

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抄録

症例は57歳, 男性. 鯖の刺身と舞茸を摂取後, 腹痛と腹部膨満を主訴に来院. イレウスと診断し, 腹膜刺激症状も認めた為緊急手術を施行した. 開腹所見では, 中等度の腹水を認め, 回盲部から約100cm口側の回腸漿膜に点状出血を認め, 内部に腫瘤を触知した. なお, 狭窄も伴っていた為, 回腸部分切除を施行した. 切除腸管は高度狭窄し, 粘膜面に刺入したアニサキス虫体を認めたことから, 小腸アニサキス症と診断した. なお, 狭窄部口側には手術前日に摂取した舞茸が嵌頓しており, 触知した腫瘤は舞茸であったことが判明した. 以上より, 小腸アニサキス症に伴う食餌性イレウスと診断した. 稀有な症例と思われた為, 文献的考察と共に報告する.

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© 2007 日本臨床外科学会
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