日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
腹腔鏡補助下手術が有用であった単純性小腸潰瘍による腸重積症の1例
水崎 馨斉藤 英一小林 秀昭
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 69 巻 8 号 p. 1977-1981

詳細
抄録

症例は51歳,男性.腹痛と嘔気を主訴に来院した.入院時検査所見は軽度の白血球数の上昇を認めた.腹部CT検査ではtarget sign様所見を認め腸重積が疑われた.炎症所見が軽度で,腹膜炎症状を認めなかったことから抗菌剤で経過をみた.翌日には腹痛も消失し白血球数も正常化した.同日行った腹部CT検査では腸重積様所見は消失したが,小腸内に隆起性病変を認めた.小腸腫瘍の診断で入院3日後に腹腔鏡補助下手術を施行した.手術所見は空腸下部に約40cmの拡張した腸管と発赤を認めた.発赤部を含めた小腸部分切除術を施行した.摘出標本では2カ所のU1─IIIの単純性潰瘍を認めた.今回,単純性小腸潰瘍による腸重積症に対し腹腔鏡補助下手術を行い良好な結果を得たので報告した.

著者関連情報
© 2008 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top