日本臨床外科学会雑誌
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症例
幽門側胃切除術BillrothII法再建後,腸石を伴った十二指腸憩室穿孔の1例
上月 章史篠崎 浩治高里 文香木全 大小林 健二尾形 佳郎
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2008 年 69 巻 11 号 p. 2877-2882

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抄録

症例は76歳,女性.幽門側胃切除術,Billroth-II法再建の既往歴があった.前日から突然の下腹部痛を認め,腹痛が悪化するために当院救急外来を受診した.来院時理学所見は腹部全体が板状硬であり,腹部CT検査で膵頭部・十二指腸背側から右腎上極の後腹膜腔に多量の腹水と気腫を認めた.消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を施行した.十二指腸下行脚腹側に穿孔を有する憩室を認め,憩室内部に腸石が6個存在した.また,十二指腸下行脚から横行結腸間膜にかけて広範囲の浮腫と壊死を認め,膵頭部には強い炎症所見を認めた.腸石を伴った十二指腸憩室の穿孔と診断し,膵頭十二指腸切除術・Whipple法再建を施行した.切除標本病理検査にて十二指腸憩室の穿孔と壊死および膵炎像を認めた.術後,膵空腸吻合部の縫合不全を併発したが,保存的加療にて軽快した.幽門側胃切除術,Billroth-II法再建後,憩室内に多数の腸石を有する,十二指腸下行脚憩室穿孔をきたした1例を経験したので報告する.

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© 2008 日本臨床外科学会
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