日本臨床外科学会雑誌
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症例
DICを2度発症した多発性動脈瘤の1例
村井 俊文宮内 正之佐藤 俊充蜂須賀 丈博森 敏宏篠原 正彦
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キーワード: 多発動脈瘤, DIC
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2008 年 69 巻 12 号 p. 3107-3112

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抄録

69歳,男性.平成17年12月,CT,MRIにて腎動脈下の腹部大動脈瘤(5.2×5.0cm),両大腿動脈瘤(右:9.0×7.5cm,左:4.3×4.0cm),右膝窩動脈瘤(3.5×2.5cm)を認めた.採血上,播種性血管内凝固症候群(以下DIC)を合併しており,このいずれかの動脈瘤によるDICと診断し,DICコントロール目的で入院となった.入院後2日目に脳梗塞を発症したため,出血性梗塞を危惧し,低分子ヘパリンによるDICコントロールを断念した.CTの所見にてDICの原因と考えられた右大腿動脈瘤の人工血管置換術を施行した.DICは改善し,術後11日目に退院となった.しかし,術後約3カ月目にDICを再発し緊急入院となった.低分子ヘパリンを使用し,入院後9日目にはDICは改善し,腹部大動脈瘤,左大腿動脈瘤の人工血管置換術を同時に施行した.術後経過は良好で術後11日目に退院した.DICを2度合併した多発動脈瘤を経験したので報告する.

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© 2008 日本臨床外科学会
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