2008 年 69 巻 3 号 p. 657-661
十二指腸狭窄を伴った黄色肉芽腫性胆嚢炎の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は51歳,男性.2カ月前より食欲低下が出現し,前医で上部消化管造影検査にて十二指腸の狭窄を指摘され,当科紹介となった.腹部CT検査にて胆嚢壁の肥厚が著明で,胆嚢周囲の肝組織の濃度上昇を認めた.腹部血管造影検査にて胆嚢動脈の屈曲,蛇行,不整を認めた.胆嚢癌の肝浸潤,十二指腸浸潤を疑い,開腹手術を施行した.術中迅速組織診断にて黄色肉芽腫性胆嚢炎と診断した.十二指腸狭窄は胆嚢炎の炎症波及によるものであった.術後吻合部潰瘍を併発し治療を要したが,保存的治療にて軽快し退院となった.