日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
術前診断が可能であったS状結腸間膜窩ヘルニアの2例
塚原 哲夫山口 晃弘磯谷 正敏原田 徹金岡 祐次亀井 桂太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 69 巻 3 号 p. 676-681

詳細
抄録

症例1は34歳の男性で,左下腹部痛を主訴に当院を受診し,イレウスの診断で入院した.イレウス管造影で回腸に狭窄像を認め,腹部CT検査では同部位の拡張腸管がS状結腸間膜内に嵌入している所見を認め,S状結腸間膜ヘルニアと診断し手術を施行した.開腹所見ではS状結腸間膜窩に回腸が嵌頓して壊死に陥っており,壊死腸管を切除しヘルニア門を縫合閉鎖した.症例2は68歳の男性で,下腹部痛を主訴に当院を受診した.腹部CT検査でのS状結腸間膜付近での不連続な小腸の拡張像と,小腸ループ形成像とから,S状結腸間膜ヘルニアと診断し手術を施行した.開腹するとS状結腸間膜窩に回腸が嵌頓していたが,血流は良好でヘルニア門を縫合閉鎖した.
S状結腸間膜窩ヘルニアの本邦報告例はわれわれが調べえた限り自験例を含め35例で極めて稀な疾患である.診断にはイレウス管造影とCTが有用であった.

著者関連情報
© 2008 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top