日本臨床外科学会雑誌
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症例
十二指腸転移をきたした乳腺浸潤性小葉癌の1例
早川 善郎高金 明典小林 慎目黒 英二入野田 崇池田 健
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2008 年 69 巻 1 号 p. 68-72

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抄録

乳癌の消化管転移は稀である.今回,われわれは乳癌手術とほぼ同時期に,十二指腸への転移をおこした1例を経験したので報告する.症例は45歳,女性.乳癌術後に化学療法施行後,遷延する悪心・嘔吐を認め,精査にて,十二指腸壁の肥厚・浮腫性変化を認めた.内視鏡下生検にて,乳腺浸潤性小葉癌と同様の細胞が認められ,乳癌十二指腸転移と診断した.高度の悪心・嘔吐のため,食事摂取不能であったため,腹腔鏡補助下に胃・空腸バイパス術,およびホルモン療法目的に卵巣摘出術を行った.術後,1年6カ月経過するが,十二指腸壁の肥厚も軽減し,他臓器転移も認めず,化学療法継続中である.

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© 2008 日本臨床外科学会
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