日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
原著
注腸によるHirschsprung病の病型診断
蓮田 憲夫高野 邦夫鈴木 健之腰塚 浩三松本 雅彦
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 70 巻 7 号 p. 1926-1930

詳細
抄録

注腸造影によるHirschsprung病(H病)の病型診断について検討した.われわれが経験したH病症例19例を対象とした.初回注腸造影でtransition zoneが不明瞭だった症例,新生児症例に対し,前処置として浣腸,洗腸,ブジー,摘便を行った後,数回の注腸造影(delayed contrast enema)を施行し,注腸造影のtransition zoneを最終的な病型診断と比較検討した.初回注腸造影による病型診断率は58%であったが,delayed contrast enemaを含む病型診断率は84%になった.Delayed contrast enemaを施行した11例について,最終的な病型と注腸造影上のtransition zoneの比較では,7例で正しい病型診断が得られた.注腸造影により正しい病型が診断できなかった症例では,transition zoneの描出ができなかった症例と,最終的な病型診断より肛門側にtransition zoneが描出された症例が認められた.H病の診断時の注腸造影に際して,前処置は行わないこととされているが,新生児症例や描出が不充分な症例では前処置により,正確な診断が得られる可能性がある.

著者関連情報
© 2009 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top