日本臨床外科学会雑誌
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症例
魚骨による食道穿孔後の難治性瘻孔閉鎖に内視鏡下瘻孔充填術が有効であった1症例
富田 祐介本田 宏松本 卓子高畑 太郎内田 靖子小池 太郎
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2009 年 70 巻 7 号 p. 1966-1969

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抄録

症例は56歳,男性.過飲過食(アラ汁を食す)後の左胸部痛を主訴として食道異物を疑われ,当科を紹介受診した.CTで大動脈周囲にfree airが認められ,下部食道左壁に魚骨がつきささっていたため内視鏡下に摘出した.左胸水貯留が生じ経皮的胸腔ドレナージ術を施行したが,第7病日に胸水の増加と縦隔炎の増悪を認め,胸腔鏡下縦隔ドレナージ術を施行した.ドレナージは良好であったが,左下葉にMRSA肺化膿症を合併したためCT下穿刺ドレナージ術を施行した.第42病日に残存した瘻孔に対し,内視鏡下フィブリノゲン加第13因子(ベリプラスト®)注入を行い,瘻孔は消失し,第56病日に退院した.魚骨による食道穿孔後の難治性瘻孔閉鎖に内視鏡下瘻孔充填術が有効であった症例を経験したので報告する.

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© 2009 日本臨床外科学会
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