日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔内膿瘍を形成した空腸憩室炎の1例
平光 高久橋本 昌司大西 英二間瀬 隆弘永田 二郎
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2009 年 70 巻 11 号 p. 3343-3346

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抄録

空腸憩室の頻度は極めて低く,空腸憩室炎から膿瘍を形成した症例の報告は,さらに稀である.症例は52歳の男性で,ネフローゼ症候群のためプレドニンを4mg/2日で内服していた.2006年1月に腹痛,発熱で他院を受診した.腹部CT検査で腹腔内に膿瘍形成を認めたため,当院に紹介となった.心窩部に圧痛,反跳痛,筋性防御と38.5度の発熱を認めた.経皮的膿瘍ドレナージを施行し,造影したところ小腸の一部が造影された.小腸造影を施行したところ,膿瘍ドレナージ部の近傍に空腸憩室を認めた.ドレナージにて膿瘍の縮小を認めたが,食事を開始すると発熱,腹痛を繰り返すため,手術を施行した.開腹するとTreitz靱帯から約10cmのところで小腸が一塊となっていたため,一塊となった小腸を切除した.切除標本では,空腸憩室と考えられる空腸と連続した腔を認め,空腸憩室炎による腹腔内膿瘍と診断した.

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© 2009 日本臨床外科学会
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