日本臨床外科学会雑誌
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原著
腹腔鏡下胆嚢摘出術後に診断された胆嚢癌症例の臨床病理学的検討
石津 寛之近藤 征文安達 武彦岡田 邦明益子 博幸秦 庸壮田中 浩一川村 秀樹横田 良一山上 英樹渡会 博志横田 健太郎
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2009 年 70 巻 4 号 p. 985-992

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抄録

目的:腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)後に診断された胆嚢癌症例の病態を明らかにする.対象と方法:1992年から2004年の術前診断良性のLC 1665例のうち術後判明した胆嚢癌症例12例(0.72%)を2463例の開腹胆嚢摘出(OC)後判明の15例(0.61%)と比較検討した.
結果:LC後12例の癌深達度はm 6例,mp 1例,ss 5例と早期癌が58.3%であった.OC後判明例に比較して癌の組織学的所見に差はなかった.LC後の症例ではm癌の全例は経過観察し,胆嚢管断端が癌陽性であった1例のmp癌と,ss癌5例中4例に胆嚢床切除にD2郭清を基本とし追加手術を行った.LC後のss癌1例が他病死,OC後のss癌2例が原病死したが,残る24例は無再発生存中である.
結論:m癌ではLC後に追加切除なしで再発はみられずLCが適応となる可能性が示唆された.LC後のss癌判明例では追加切除により良好な成績が得られた.

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© 2009 日本臨床外科学会
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