日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
転移性肝腫瘍と鑑別が困難であった肝副葉の1切除例
清水 誠一福田 三郎有田 道典先本 秀人江藤 高陽高橋 信西田 俊博
著者情報
キーワード: 肝副葉, 肝腫瘍
ジャーナル フリー

2010 年 71 巻 8 号 p. 2090-2095

詳細
抄録

腎癌術後に肝転移再発と鑑別困難であった,肝副葉の1例を経験した.
症例は59歳,男性.平成16年,右腎癌に対して手術施行されたが,術前のComputed tomography(CT)では肝腫瘤は認めていなかった.腎癌術後6カ月のCTで肝左葉に1cm大の腫瘤を認め,その後増大傾向を認めた.Dynamic CTでも造影効果を認めたため,転移性肝腫瘍を疑った.手術を施行したところ,肝外側区域から被膜を介して肝外に伸びる母指頭大の腫瘤を認め,切除した.
摘出標本では,被膜内に門脈,動脈,胆管を認め,腫瘤は正常肝組織であり肝副葉と診断された.
肝副葉は手術時などに偶然発見されることが多いが,本症例は術前に転移性肝腫瘍と鑑別困難な症例であったため,文献的考察を加えて報告した.

著者関連情報
© 2010 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top