日本臨床外科学会雑誌
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症例
慢性関節リウマチに対するメソトレキセート治療中に発症した胃原発T細胞性悪性リンパ腫の1例
森 隆太郎簾田 康一郎佐々木 真理長谷川 誠司江口 和哉仲野 明
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2010 年 71 巻 12 号 p. 3113-3118

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抄録

症例は72歳,男性.慢性関節リウマチ(RA)に対しメソトレキセート(MTX)による治療中であった.2008年9月突然の吐血があり近医を受診し,上部消化管内視鏡検査で巨大雛壁と多発する出血性胃潰瘍を認め,生検で胃原発悪性リンパ腫と診断された.当院に化学療法目的で入院したが,再度吐血し,内視鏡的止血も奏効しなかったため,緊急で胃全摘術を施行し,病理組織検査で胃原発T細胞性悪性リンパ腫(PGTL)と診断した.胃原発悪性リンパ腫のほとんどはB細胞由来で,PGTLは極めてまれである.また,PGTLはB細胞性に比べ予後不良といわれ,外科的切除のみならず化学療法も含め集学的に治療すべきと考えられるが,症例が少なく定まった治療法がないのが現状である.また,近年RAに対するMTX治療と悪性リンパ腫発症との関連が指摘されており,発症要因からも示唆に富む症例と考え文献的考察を加え報告した.

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© 2010 日本臨床外科学会
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