日本臨床外科学会雑誌
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症例
横行結腸粘膜下腫瘍として発見されたアニサキス症の1例
藤國 宣明中原 雅浩橋本 昌和石崎 康代福田 敏勝黒田 義則
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2010 年 71 巻 2 号 p. 445-448

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抄録

症例は61歳,男性.兎糞様便を主訴に当院受診した.腹部所見は特記すべき異常なし.下部消化管内視鏡検査で,横行結腸に径2cm大の粘膜下腫瘍を認めた.腹部造影CT検査では,横行結腸の腫瘍性病変は指摘できなかった.横行結腸GISTを疑い,腹腔鏡補助下結腸部分切除術を施行した.病理組織検査では,アニサキス虫体と好酸球性膿瘍の形成を認めた.本症例は,腸アニサキス症の明らかな急性期症状を伴わず,自然に幼虫が死亡・吸収された過程のものと考えられた.横行結腸アニサキス症の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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