日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
症状の改善度からみた吸引式痔核結紮術の適応と限界
月川 賢松岡 博光四万村 司牧角 良二櫻井 丈大坪 毅人
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2010 年 71 巻 4 号 p. 907-912

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抄録

目的:当科で吸引式痔核結紮器による内痔核治療を受けた318例を対象に,自覚症状の改善度から吸引式痔核結紮術の適応と限界を考察した.
結果:来院時の自覚症状は,出血222例(69.8%),脱出89例(28.0%),肛門の違和感81例(25.5%)であった.治療後の症状改善度は,出血は99.0%に症状の改善が見られ,肛門の違和感84.0%,脱出36.0%であった.脱出に対する有効性は他の2症状に比べて改善度が低かった.またGoligher分類別に奏効率を見ると,grade1:96.0%,grade2:92.2%,grade3:46.9%,grade4:0%であった.
結論:以上から,grade1,2が吸引結紮療法のもっとも良い適応であり,grade3では3~4回施行し,有効ならば継続,無効であれば手術に切り替える.grade4では本治療による改善度は低く,手術療法が第1選択である.

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