日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃形質細胞腫の1切除例
平田 貴文久米 修一久保田 竜生
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2010 年 71 巻 1 号 p. 99-103

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抄録

症例は66歳,女性.腹痛,食欲不振にて当院受診.上部消化管内視鏡検査にて胃体下部大弯に退色調の地図状粘膜隆起を3カ所認め生検を行った.結果はRussell body,Dutcher bodyを有する髄外性形質細胞腫疑いであった.またヘリコバクターピロリ菌は認めなかった.その後の精査にて遠隔転移など認めないことから幽門側胃切除術を行った.術後,病理組織学的検査では粘膜固有層を中心にλ鎖陽性細胞を主体とした形質細胞の浸潤を認めた.術後経過は良好で現在無再発生存中である.髄外性形質細胞腫は比較的まれな疾患で,消化管原発は10%程度といわれている.また胃MALTリンパ腫の類縁疾患といわれているが今回の症例ではMALTリンパ腫の特徴は認めなかった.まれな疾患である胃形質細胞腫を経験したので文献的考察を加え報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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