2011 年 72 巻 7 号 p. 1786-1790
症例は71歳,男性.平成20年12月下旬より腹痛・嘔吐・下痢認め平成21年1月上旬当院内科受診も経過観察となった.しかしその9日後腹痛増強あり当院救急搬送となった.腹部CTの結果,胆石イレウスによるS状結腸穿孔と考え,同日緊急試験開腹術施行した.術中所見にてS状結腸に約4cm大の結石認め,その口側に穿孔部位を同定した.手術はS状結腸部分切除,回腸ループ式人工肛門造設,腹腔洗浄ドレナージを施行した.術後は敗血症性ショックとなりICUにて全身管理を必要としたが術後7日目には一般病棟へ転棟可能となった.術後16日目の経口ガストログラフィン造影では十二指腸・胆嚢・横行結腸瘻認めたが,術後33日目の経口ガストログラフィン造影にて十二指腸・胆嚢・横行結腸瘻の閉鎖を確認し,人工肛門閉鎖術を施行した.胆石イレウスによるS状結腸穿孔は稀であり報告する.