2011 年 72 巻 9 号 p. 2188-2198
目的・方法:POSSUMは1991年にイギリスで開発されたが(以下,original POSSUM),術後合併症の過剰予測で日本の実情に合わないとされ,2007年にHiroshima-POSSUM(以下,H-POSSUM)が開発された.島根県の多施設消化器手術データベースに集積された1,246例(2002年から2010年)の前半622症例からロジスティク回帰分析にてShimane-POSSUM(以下,S-POSSUM)を導き,後半624症例における有用性を観察された発生率の予測されたそれに対する比(以下,O/E比)の比較とROC解析を用いて,original POSSUM,H-POSSUMと比較した.結果:術後合併症率ではO/E比はoriginal POSSUM 0.52,H-POSSUM 0.70,S-POSSUM 0.86であり,手術直接死亡率でも各々0.09,0.25,0.46と,S-POSSUMが最も1に近かった.ROC解析では,術後合併症率ではAUCは各々0.666,0.672,0.672,手術直接死亡率では,0.817,0.829,0.836と3者同等であった.結論:当地域の消化器手術の合併症予測にはS-POSSUMが最も有用であった.