2011 年 72 巻 2 号 p. 313-316
患児は9歳,男児.上気道炎で近医経過観察中,39度台の発熱が遷延し,左側胸水貯留を認めるようになり紹介された.多房性の膿胸を呈しており胸腔ドレーンを留置したが症状の改善は得られず,小開胸を用いた胸腔鏡補助下胸腔内掻爬ドレナージ術を施行した.胸腔内は胸膜の癒着が著しく,癒着の間に多房性の胸水が少量づつ貯留していた.肺は胼胝で覆われ拡張できなくなっていた.鈍的に癒着を剥離したのち,可及的に胼胝を切除した.胸腔内を充分洗浄しドレーンを留置した.
小児においては,膿胸の進行が急速であること,体格上,充分な太さの胸腔ドレーンを留置できないことから,早期にドレナージ不良となることが予想され,ドレナージが効かなくなった段階ですみやかに手術療法を考慮すべきである.
手術においては,小開胸を用いた,胸腔鏡補助下胸腔内掻爬ドレナージ術が有用であった.