2006 年 26 巻 2 号 p. 150-155
長期腹膜透析の合併症の一つである被嚢性腹膜硬化症に対して施行した腸管癒着剥離術38例の麻酔 (硬膜外麻酔併用全身麻酔) の水分管理法について検討した. 血管内容量の指標として肺動脈拡張期圧 (PADP) と中心静脈圧 (CVP) を用いた. PADP, CVPが低い症例では補液による血管内容量の補正を行った. PADP, CVPが適切にもかかわらず混合静脈血酸素飽和度 (SvO2) や連続心係数 (CCI) が低い症例に対してはカテコラミンを使用して水分過剰を防止した. 溢水, 脱水による術後合併症をきたした症例はなかった. 肺動脈カテーテルを用いることにより, 溢水, 脱水による術後合併症を認めることなく水分管理が可能であった.