ラセミ体であるブピバカインには重篤な心毒性が認められることから,その左旋性異性体で毒性が少ないとされるレボブピバカインが開発され本邦でも承認された.本邦での適応は0.75%レボブピバカインが硬膜外麻酔,0.25%が術後鎮痛である.海外では現在50数ヵ国で使用され,すでに他剤との比較や安全性についての報告がいくつかなされている.本稿では,まず本邦での臨床治験の結果から,日本人におけるレボブピバカイン使用の有効性と安全性について述べ,次に海外での硬膜外投与に関する報告を述べ,その特徴について概説する.海外での術中硬膜外への使用報告ではブピバカインやロピバカインと比較した結果,わずかな違いは麻酔効力の差に起因するものであり,効力はブピバカイン>レボブピバカイン>ロピバカインとされている.しかし,高濃度を用いる術中使用に関しては3剤ともほぼ同様に有効と認識されている.