日本臨床細胞学会雑誌
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原著
企業における子宮頸がん検診の現状と課題
松浦 祐介永塩 英治卜部 理恵川越 俊典土岐 尚之蜂須賀 徹柏村 正道
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2011 年 50 巻 1 号 p. 6-10

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抄録

目的 : 企業における子宮頸がん検診の現状を明らかにし, その役割と課題について検証する.
方法 : 278 事業所 (社) の産業医に子宮頸がん検診についてのアンケートを依頼した. 125 社から回答が得られ, がん検診を実施している企業は 53 社 (42%) であり, うち 37 社からさらに詳細な回答が得られ, その内容について検討した.
成績 : 子宮頸がん検診を必須項目としている企業は 3 社 (8%) のみでほかは希望者を対象としていた. 28 社 (76%) が検診間隔を 1 年としていたが, 対象年齢を 20 歳まで引き下げている企業は 13 社 (35%) のみであった. がん検診受診者数が把握できた 30 社の女性従業員数は 3 万 1744 名であり, うち検診受診者数は 7226 人で受診率は 23%であった. 検診の結果が確認できた 27 社における細胞診陽性率は 1.6%であり, 精検受診率は 74%であった.
結論 : 健康増進法で受診できない女性労働者の子宮頸がん検診を企業健診でカバーする必要があるが, 受診率は 23%にとどまっており, 対象年齢の拡大が必要である. 要精検者に対しては, 産業医や産業保健スタッフの個別指導を中心とした積極的関与が必要である.

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© 2011 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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