獣医臨床皮膚科
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症例報告
皮膚リンパ球症を考えた猫の1例
渡辺 貴之星 克一朗石田 譲坂田 郁夫永田 雅彦代田 欣二
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キーワード: 脱毛, , 皮膚リンパ球症
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2010 年 16 巻 2 号 p. 57-60

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抄録

10歳齢,去勢雄のペルシャ猫に腋窩および躯幹背側の脱毛,鱗屑と潰瘍を認めた。皮膚病理組織学検査で真皮全層にリンパ球の浸潤が観察された。免疫組織化学検査ではCD3,CD4,CD5,CD8,CD18陽性細胞が混在し,クロナリティーは認められなかった。プレドニゾロンとクロラムブシルの内服を実施したものの,皮疹は改善に乏しかった。腎機能が漸次悪化し,発症から約2年後に安楽死となった。剖検にて腎硬化症とリンパ球性胆管肝炎がみられたが,いずれの臓器にも転移を思わせる腫瘍病変は認められなかった。以上より,本症を皮膚リンパ球症と考えた。

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© 2010 日本獣医皮膚科学会
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