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生命科学のコミュニケーションから見た科学研究情報流通 BMB2008におけるフォーラムから
長神 風二
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2009 年 52 巻 2 号 p. 77-85

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抄録

筆者らは生命科学系最大規模の学会において,科学研究情報の流通に関するフォーラムを開催した。フォーラムは集客も多くなく必ずしも成功裡に終わったとは言い難いが,いくつかの成果を上げることができた。シリアルズクライシス,機関リポジトリ,オープンアクセスなど,生命科学研究者にとっては耳にする機会の少ない概念を提示し,科学と社会をつなぐコミュニケーションを考えるうえでも,あるいは,研究を発展させていくうえでも情報流通が重要であることを示した。また,社会とのコミュニケーションの視点を軸に,科学研究情報の流通を考えると,研究者が公表した研究成果をセルフアーカイブすることの重要性,またそれを推進するための組織的・資金的な支援の必要性,大型研究機関における機関リポジトリの必要性や,ファンディングエージェンシーのより重要な役割が浮かび上がってきた。現状の問題点を一つ一つ解決していく提案を行い,研究と社会にとってより良い研究情報の流通のあり方を考えていく。

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© Japan Science and Technology Agency 2009
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