2010 年 101 巻 4 号 p. 603-608
(目的) Magnetic resonance imaging(MRI)のT2強調像(T2WI),Dynamic,拡散強調像(DWI)の前立腺癌の局在診断における有用性を,前立腺全摘標本と比較し検討する.
(対象・方法) 術前に1.5Tで経直腸コイルを使用したMRIを行った85例のうち,術前内分泌療法を施行した3例を除く82例を対象とした.T2WIのみ,T2WI+Dynamic,T2WI+DWIの3群において腫瘍の存在を評価し,前立腺全摘標本と比較検討した.前立腺を辺縁域,内腺域ともに左右に分け,径5mm以上の腫瘍をsignificant cancerとして検討した.
(結果) 辺縁域において,前立腺癌の局在診断に対する,感度,特異度,陽性的中率,ROC解析でのAUC(Az)はそれぞれ,T2WIでは42%,94%,93%,0.76;T2WI+Dynamicでは48%,96%,96%,0.78;T2WI+DWIでは50%,96%,96%,0.81であった.内腺域では,感度,特異度,陽性的中率,Azはそれぞれ,T2WIでは31%,92%,76%,0.66;T2WI+Dynamicでは46%,82%,67%,0.65;T2WI+DWIでは48%,94%,85%,0.71であった.
(結論) 前立腺癌に対する局在診断において,T2WIにDWIを併用することで,辺縁域,内腺域ともにAzが増加した.