2010 年 66 巻 2 号 p. 370-386
割れ目が発達した岩盤中に大深度立坑を掘削する際には,割れ目からの突発湧水リスクが大きいことが知られている.湧水リスクを割れ目ネットワークモデルを用いたモンテカルロシミュレーションにより算出する場合,ネットワークモデル構造の複雑さのため数値解析に時間を要し,低頻度事象の再現性が課題となる.本研究では低頻度事象を精度よく再現するため,理論式に基づく湧水リスクの簡易評価手法を提案した.提案した手法は実現象の再現性に課題が残るものの,解析実施が容易であり,低頻度事象を再現するために十分なサンプリング数を確保することが可能となった.さらに本研究ではベイズの概念を導入し,調査の情報量に応じた突発湧水リスクの評価手法および調査コストとリスクを足し合わせた総コストの最適点を算出する手法を提案した.