2011 年 67 巻 4 号 p. I_145-I_158
社会資本を資産と捉えて管理するアセットマネジメントが導入されつつある中で,安全で安心な地域を維持していくためには,従来,自治体が担っている公共の領域を見直し,様々な担い手を活用した道路施設管理体制が必要といえる.本研究では,多様な主体が協働で道路施設管理を担うための仕組みづくりと人づくりに着目し,地域協働型道路施設管理のあり方を検討した.具体的には,先進事例の運用実態を明らかにすることで,従来型の道路施設管理が抱える課題を抽出し,仕組みづくりの方向性として,「自治体間の連携」,「民間活力の活用」および「住民参加」を示した.また,仕組みづくりから見える人づくりの課題を抽出し,その方向性として「専門家の育成」,「住民の主体的な活動の創出」を示し,人づくりを仕組みづくりに結びつけるために「中間支援組織の活用」が重要であることを示した.さらに,主体間の関係および各主体の果たすべき役割を整理することで,地域協働型道路施設管理のあり方を考察した.