本論文はわが国の公共工事の効率的な施行を目的として,望ましい工事発注規模について検討したものである.まず,わが国と英米国の公共工事1件当りの工事発注規模,建設産業構造,自然災害被害を比較した.その結果,わが国の発注規模が英米国に比較して小型であり,その原因が産業構造や自然災害被害が原因と捉えにくいことを指摘した.次に,工事発注規模が地方・国の経済にどのような影響を与えているか,産業連関手法を用いて評価した.発注規模を大型化すると,大手建設業者の元請工事が増大して地域経済に悪影響を及ぼすということが,官公需施策の理由である.検討の結果,大手建設業者の占有率が現状に比較して10数%増大してもフロー効果は減少することなく,フロー効果・ストック効果により当該都道府県の地方税収が増加することを明らかにした.