2009 年 65 巻 2 号 p. 119-127
増大する交通量に対応するために,1960年代に在来工法で建設した2車線道路トンネル(天王山トンネル)を拡幅することとなった.本トンネルの建設はかなりの難工事であったことから,慎重な調査,計画をもって拡幅工事に臨んだが,結果的には地山の変位も小さく収まり,十分な安全性を確保しながら工事を終えることができた.この背景には,トンネル周辺に形成されたと思われるグランドリングとその構造特性の経時変化が大きく関わっていると考えられる.本論文では,拡幅工事に先立って行われた様々な調査,試験,また工事中に行われた変位計測の結果等を分析することにより,地山のゆるみ域,グランドリングなどの構造特性が既設トンネルの拡幅・改修工事にどのような影響を及ぼすのかについて考察した.