2009 年 65 巻 3 号 p. 381-393
横浜ベイブリッジの供用後,下層に一般国道357号の桁が架設された.その直後の定期点検において,ケーブル定着部のケーブルの角折れを防止する緩衝装置の付近に,ポリエチレン被覆の融解した損傷が発見された.この原因を究明するため,損傷部の詳細点検に加えて,実橋のケーブル振動,気象データ,および緩衝装置付近のポリエチレン被覆の温度変化について,約1年間の観測を実施し,損傷原因の考察を行った.その結果,下層の桁の載荷により,緩衝装置付近のケーブル上面に接触面圧が作用した状態で,風速限定型振動のレインバイブレーション現象が発現し,緩衝装置の緩衝ゴムとの接触部に摩擦による発熱が生じて,ポリエチレン被覆の融解損傷が生じた可能性のあることが明らかとなった.