近年,霞ヶ浦で観察されている濁度上昇現象の要因を明らかにすることを目的に,定期水質・底泥測定,強風イベント時での採水分析,湖心での濁度連続観測,その数値シミュレーション等を行った.まず,濁度上昇が無機濁質の増加により生じていることを定量的に示した.次に,濁度時間変化から底泥巻き上げ量を算定し,それと風による底面せん断応力との関係を解析した結果,1997-2004年の間では最近ほど限界せん断力が低下し,巻き上げ係数が増加していることを示した.こうして得られた諸係数ならびに底泥特性をパラメータ,各年の気象条件を入力変数,粒径画分ごとの濁度を予測変数にしたモデルを作成し,実測値と比較した結果,良好な一致を見た.最後に,底泥特性の変化原因,ならびに底泥巻き上げ以外の濁度上昇要因について,簡単ではあるが議論した.