2011 年 67 巻 2 号 p. 186-197
塩水系地下水が存在する場合,淡水系地下水との密度差により地下水の流動が複雑化する.この場合,地下水流動挙動の評価は密度流と移流・分散を連成した複雑な数値解析によって行われている.しかしながら解析コードの検証に用いられる室内試験の多くが,着色した塩水の色の有無によって判別された塩淡境界の位置に着目して行われており,塩淡境界における塩濃度分布の定量的な試験データの取得が不十分であった.そのため数値解析コードの塩濃度分布に関する比較・検証が十分ではなかった.今回,塩水楔現象について,着色した塩水の反射光強度を光学的に非接触で測定・解析を行った.この結果,塩水および淡水の流れを乱すことなく,また楔の形状のみならず淡水と塩水の境界部の遷移帯の塩濃度分布を定量的に評価することができたので報告する.