2011 年 67 巻 2 号 p. 41-53
低レイノルズ数の片複断面開水路流れにおける斜昇流の内部構造の特徴を,流速計測法と可視化法を用いて考察した.斜昇流の形成が卓越する高水敷水深が比較的大きい流れでは,縦渦構造が集中して形成される領域が高水敷上に複数存在する.とくに高水敷先端部には,水表面まで発達する縦渦構造が安定して形成されることが認められた.この構造は低水路方向への傾斜運動が顕著であり,時針,反時針方向の旋回状の瞬時二次流れ,局所的な低速領域,瞬時レイノルズ応力の生成に直接寄与している.このような瞬時の速度場の形成に寄与する縦渦構造の高水敷先端部における時空間的集中によって,長時間平均特性である斜昇流を内包した対を成す大規模な旋回状の二次流分布が生成されることが明らかとなった.