日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
症例報告
ミゾリビン使用中に著明な高尿酸血症と急性腎不全をきたした関節リウマチ・シェーグレン症候群の一例
田中 浩紀阿部 敬西村 進酒井 基木村 裕一沖 真理子野島 正寛田賀 理子松本 晋一郎高橋 裕樹今井 浩三
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 27 巻 3 号 p. 171-176

詳細
抄録

症例は64歳, 女性. 平成11年近医にて関節リウマチと診断され, エトドラク, アクタリット, ミゾリビン, プレドニゾロンを併用し加療されていた. 平成13年5月25日より発熱, 嘔気を自覚し近医を受診. ジクロフェナクナトリウム, クリンダマイシンにより加療されたが症状の改善を認めず, 5月31日鼻出血, 黒色便が出現し, 高尿酸血症, 腎機能障害, 血小板減少を指摘されたため同日当科紹介入院となった. プレドニゾロン以外の内服薬は中止とし, 翌6月1日血液透析を施行した. 発熱, 嘔気等の臨床症状は数日で改善し, 炎症反応は抗生剤を使用せずに陰性化した. 6月11日には腎機能障害, 高尿酸血症は正常化し, 血小板数は血小板輸血を施行した後正常値となり, 7月2日退院となった. なお, シェーグレン症候群の存在も診断された. 自験例は一過性の腎機能障害によるミゾリビン排泄遅延のため副作用である高尿酸血症が出現し, 腎機能障害をさらに増悪させた可能性が考えられた. ミゾリビンを使用する場合, 潜在する腎機能障害に注意する必要があるばかりではなく, 一過性の腎機能障害出現時においても薬剤の中止, 血液透析施行等の早急な対応が必要となることがある.

著者関連情報
© 2004 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top